十二神祇神楽

十二神祇神楽

 『十二神祇神楽』 は旧安芸国南部の広島市・廿日市市・大竹市などで伝承されている古い神楽です。例年、新穀を神様に御供えして五穀豊穣・無病息災をお祈りする秋祭りの前夜祭において、神社の境内にしつらえた舞殿で舞が奉納されます。その発祥は、江戸時代中・後期まで遡り、広島県山県郡安芸太田町を中心とした芸北地区から里神楽として受け継がれ誕生したものとされています。
 現在の広島市安佐北区口田南・上矢口地区では、古くから 『十二神祇神楽』 が伝承され、舞が奉納されていたようですが、昭和40年代初め頃に一旦途絶えてしまいました。その後、約30年近いブランクを経た平成5年(1993年)に有志によって地元の新宮神社 秋季例大祭 前夜祭の奉納余興神楽として 『十二神祇神楽』 を復活させて、現在に至っています。

上矢口十二神祇神楽演目(保持演目)

露払い  煤掃き  神降し  三方  四天  大鬼子鬼
旗舞  薙刀舞  天岩戸  弓舞  鯛釣り  世鬼

最近の出演記録(一部抜粋)

神楽に関する豆知識

舞殿(まいどの)

舞殿

神楽を奉納する舞台を舞殿といいます。四方には笹の付いた青竹を立てかけ、天井にも青竹を十文字に組み、この竹に天蓋(てんがい)を吊るし、四方の竹から竹に子縄を張り、四季を表した切り絵が吊るしてあります。正面が春で桜の絵、夏はあやめ、秋は紅葉と鹿、冬は松と雪の絵柄になっています。四方の角にある天蓋は四角形で鳥居と神社の絵、中央の天蓋は六角形で三方の上に御玉を乗せた絵が吊してあります。舞殿の前ではお迎え火を焚いて神楽を奉納します。

四季

口田村地方の神楽と花火

古い文献資料に以下のような記述が残されています・・

『口田村地方にては俗に舞と称する十二神祇を氏神祭に奉納し、花火を吹きて人を寄す俗あり。別に関寄と称し荒平舞ばかり寄せて花火を奉納することもあれど、多くは十二神祇を以て最とす。』 (口田村史: 川内貞雄編 郷土教育研究会 1933年)
『神楽の幕合を利用して境内の一隅では花火が行われ、参拝者の興を盛り上げる。花火は、いわゆる打ち上げ花火ではなくて吹火(ふきび)である。氏子中の希望者が花火をいったん神前に奉納した後に、順次仮設の台にとりつけ火をつけるのである。(中略)笠火は、棒の上に花火を横にして取りつける。同時に両端に火をつけると速く回転し、笠のように見えるところからこの名がある。』 (高陽町史: 広島市役所 1979年)

かつて、奉納神楽の舞の幕間に境内の一角で手作りの花火(吹き火)を披露していた時期もあったそうです。現在は、さすがに花火を手作りするという訳にもいかないので、市販の花火を利用して賑やかに盛り上げています。

花火

十二神祇神楽に関する参考文献

  • 広島県文化財ニュース 197号 「安芸十二神祇神楽の価値」: 広島県文化財協会 2008.7
  • 広島の神楽探訪: 三村泰臣著 南々社 2004.11
  • 広島の神楽 ~神々を訪ねて: 新藤久人著 広島文化出版 1973.
  • 口田村史: 川内貞雄編 郷土教育研究会 1933.
  • 高陽町史: 広島市役所 1979.
  • 戸坂町誌: 木村八千穂著 木村足穂・木村伸次編 1977.
十二神祇神楽
神楽演目(保持演目)
最近の出演記録
神楽に関する豆知識
神楽に関する参考文献
【十二神祇神楽/出演記録】
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